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作品のストーリー

2作目

『Oct GATE』

​Story:H∀RU

▶1 Same way

「なぁ、この前の基礎訓練の実技試験どうだった!?俺やっぱりE判定だったよ…センスないのかな…。」
同じクラスメイトで幼なじみの…
「カイト…あんた不器用だもんね。私はB判定よ、最後の詠唱魔法の短縮が原点になったみたい。案外できない物ね」

夢の魔法学園に入学してから早くも1年、今年はたくさんの入学生が入ってくるらしい。先輩としては威厳ある姿を見せないといけない。
なぜなら…

「詠唱魔法が出来るだけすげぇよ…、俺なんか指先光らせる程度が限界だよ。なんだよ、お家〜帰る〜とか言えばいいのか?ナナちんは凄いよな〜」

「だからその呼び方やめてってば!恥ずかしいって言ってるじゃん」

私の名前は岩陰 夏菜(イワカゲ  ナナ)、皆からは「ナナちゃん」とか「なーちゃん」って呼ばれるんだけど、幼なじみのこいつだけは何故か昔から「ナナちん」と呼んでくる。小さい頃はよかったけど、もうさすがにこの歳になると恥ずかしくなる。

「あんたそんなことよりその髪色大丈夫なの?春休みではじけすぎでしょ…。またアヤカにしごかれるわよ。」

「げっ…黒染めすんの忘れた。…と、言うとでも思ったか!へへっ!俺だって伊達に休みの間鍛えてないからな!」

自慢げそうに鼻を天狗にして、カイトは頭の上で小さく指を弾いた。

「変色魔法?中々やるじゃない」

指を弾いた瞬間カイトの髪の色は明るい金髪から、真っ黒に変わった。
そのものの配色を自分の所有するものであれば自在に変えることが出来る魔法だ。カイトは昔はよく迷彩柄に体を変色させてはかくれんぼをしていた。(あの頃は戻るのにも一苦労だったから色々大変だったな…)

「あんたそういう隠れたり、逃げるための魔法は優秀なのにね。使い方間違えたらアウトね。」

「うるせぇ!俺は一生逃げ腰ですよーだ!」

少し言いすぎただろうか?いや、私達はいつもこんな感じでお互い笑い合いながら過ごしてきた。

「そんなナナちんはこの休みの間何してたのさ」

悔しげに何か言いたげなカイトは、ニヤリと口角を上げ聞いてきた。

「私?私は次の対抗戦のための応用魔術を練習してたよ?」

「げっ…、そういやお前代表だったよな…。岩陰生徒会長様。」

「様って…」

そう、私は魔法学園生徒会長であり、毎年入学生に対してのデモンストレーションでもある、対抗戦の代表でもあるのだ。
魔法学園は4つのクラスで構成されている。

火の魔法に特化した"朱"
水の魔法に特化した"青"
草の魔法に特化した"玄"
そして光の魔法に特化した"輝"

魔法の種類は4種類以上あるが、全属性に特化した魔法士は現在、校長先生1人しか居ないとか…。
特に個人での特化しやすいのがこの4つらしい。
私達は水の魔法に特化したクラス"青"だ。
毎年この4つのクラスが競い合い、お互いの向上心を高めあっている。
もちろん優勝したクラスにはそれ相応の賞品もある。
去年は確か…

「去年は確か、朱が優勝したんだよな。賞品は"鯨の剥製"だっけ?あいつらデカすぎて保管の方法に困ってたよな」

小馬鹿にしてわらう。それもそうだ、あんな大きなものをもらったところで置く場所がないのだから。毎年賞品は校長が選んでくるのだが、おかしなものばかりだ。今年こそはまともなものを思っているが、優勝しないと分からないのだから困ったものだ。

「でも今年はそれとは関係なしに勝たないといけない理由があるの、負けられない」

「あー、そういやあいつも出るんだよな…、応援してぞ」

負けられない。絶対に。

 


▶2 セキショク・プラトニック

青空は嫌いだ。
赤く燃える空はいつも私の心を暖かく、優しく包んでくれる。
私の隣に座っている少し寂しそうな顔をしながら空を見るこの人も青空は嫌いなのだろうか?
話しかけようとしたが、目的の駅に着いてしまってタイミングが合わなかった。ただ同じ駅で降りていた。もしかしたらまた学園内で会えるかもしれない。そう期待して私は教室へと向かった。

染野 夕香(ソメノ ユウカ) 、魔法学園2回生"朱"の代表でもある。
今年は夢に見た対抗戦で必ず優勝しないといけない。
去年の夏、今年入学してくるはずのあの子のために、交わした約束を守るためにも


「ゆかねぇのこと好きやねん!けどゆかねぇと同じくらい強くなって必ずまたちょうせんしてやる!!」

ほんとに小さな子供の頃の思い出、もしまだ覚えていてくれてるのであれば、今年…

「圧倒的強さを見せつけて諦めさせてやる…」

むしろあの子は魔法が使えたのだろうか?使っているところを見た事がない。この学園に来てるのかも危うい。どうであれ勝たないといけないのは確かなのだ。

「おっはー!ゆかりん今日も暑いね〜。」

クラスメイトのレナ、帰国子女だったのが1年間経てば日本語なんてペラペラだ。慣れって怖い。

「暑いけど、尚更あなたの格好が暑さを倍増させるんだけど」

こんな熱いというのに、レナは全身真っ黒の長袖とスキニーに尚且つマフラーを付けている。もはや変態の域を超えている。
四季なんて関係なしにレナは赤いマフラーをつけている。

「だってゆかりん私の事マフラー好きって言ってくれたから!」

つけている理由が可愛すぎてむしろ呆れてしまう。
入学当初は言葉が通じないこともあり、1人孤立していた彼女に話しかけたことがきっかけでこうやって今も2人で一緒に過ごしている。
その際に付けていたマフラーが本当に綺麗赤で私も目を惹かれていた
しかし、さすがに1年間見ていると、尚且つこんな熱いのに付けているのだからなんとも言えなくなる。
「あなたほんとに変わってるよね。」

「そんなこと言ってるゆかりんだって、昔告白してきた男の子のことずっと覚えて待ってるんでしょ?」

イタズラな顔でレナは破壊的な大きなものを押し付けくっついてくる。
暑い…。そして、何故か虚しくなる。

「待ってることは待ってるけど、諦めてもらうため!」

「そんなこと言って〜、素直じゃないんだから〜」

この体の話は本当に好きなんだろう。

夕香はもう…、とため息をついて校舎の中に2人は入っていった。

 


▶3 思い通りに

毎日が退屈だった。なんてない授業を受けて、なんてない魔法を覚えて、代表なんてものにも選ばれないように、なるべく平穏な生活を目指していると、案外退屈になるものだ。
「こう刺激になることは無いのかな…。」
小さくため息を着く中

「えー、今日より転校生が入ってきた。みんな仲良くするんだぞ。」
この時期に転校生…、しかもこの魔法学園に、珍しいものだな。
どんなやつが来ようが俺には関係ない。


そう思っていた。


教室の扉を開け入ってきたその子は、綺麗なんて言葉では表せれないほど綺麗で可憐な、美女そのものだった。

「おぅ…」

思わず変な声が出てしまった。
聞こえてないようだから良かったが、なんだ?
突然にしてあんな美女がこの学園に?
クラスの男達は鼻の下をのばし、女達も見とれてしまうほどの美女が
お淑やかに口を開いた。

「あがの名は、はるか言います。よろしゅうに。」

とてつもなく言葉に癖のある子だった。

あが?どういう意味だ?
文脈的には「自分」って意味なのだろうか?
「あ、すいません。緊張しちゃうと方言か出ちゃうんです…」


どうやらただの萌だった。
うむ、大半の人間は今のでノックアウトだ。

もちろん僕も…。


それからと言っては柿音さんはクラスの中心だった。
学力優秀、魔術に関してはピカイチだった。
僕のクラスは光に特化した"輝"
でもどうやら柿音さんは他の属性も器用に発動できるようだ。
皆の人気者で、美人で、告白しては何度も打ち破られた男たちが
数え切れないほどだった…。

何気ない学園生活に華が咲いた。

あの事件が起こるまでは。


対抗戦が始まる1週間前、代表補欠に選ばれた僕は渋々隠れて個人で魔術の練習をしていた。

「何事もなくいたいけど…念のために…」

笑いものになるのだけは勘弁したい。
一応僕にだって意地はあるのだから。
そうやって今日も1人特訓していると、
校舎の屋根に1人人が立ってるのが見えた。

「こんな時間にあんな所に…誰だ?」

月明かりに照らされたその人物、それはクラスメイトの柿音さんだった

「どうしたんだろう?制服でもないし…私服?」

私服にしてはどこか薄らくらいイメージとは違うものだった。

声をかけようとしたその時、柿音さんは姿を消した。

次の日、僕はあまりにも気になり聞いた。
「柿音さん、昨日の夜どこに行ってたの?」

「え?どこにも出かけてないよ?」

キョトンとした顔で、返答してくる。
どうやら人違いだったのかな?
でもあの綺麗な髪は柿音さんしか居ない…。
どうかしたの?と聞かれたが、あまりに聴き込むのも悪いと思い、

「ごめんね!人違いたったみたい」

そう言ってその場を後にした。

 


『データベース照合…』
柿音 春花(カキネ ハルカ)、第1級魔法士、適正属性…不明、
経歴…は…

「ちっ…また不具合か…。なんで柿音さんの情報だけ手に入らないんだ?」

暗い部屋の中デスクトップが光る。
学園都市内の情報全てが見ることが出来る場所。

「くそっ…どうしたものか…」
「誰のこと調べてるの?」
「あ?そりゃこの学園にスパイとして入ってきたと言われる。柿音…のこ…ほぇっ!?」
「私の事が…どうしたって?」

 

▶4 Sparkle

暗い空から黒い雨が降ってくる。
途端に大きな光に包まれ身がやけるような痛みに襲われた。

「うわぁ!!」

これで何度目の夢だろう…。
何度も何度も同じ夢を見る。
母は最近見た漫画のせいだろうという

「……少女漫画なんだよなぁ」

しかも星に変わってお仕置なの!って言ってるマンガだ。
日曜の朝にしてるアニメがあんなグロテスクな夢を見させないだろう。

もしそうだとしたら私は想像力が豊かだな…、いや、そういう事じゃなくて。
ただ嫌な予感だけはする。
私は光の属性に特化はしている。でも指先を光らせたり、
体を変色させたりはできない。
しかし、一つだけ不思議な力だけ持ってしまった。


「頼むからこれだけは違って欲しいな…」

私の魔法。それは「予知夢」だ。

鮮明であれば鮮明であるほど、実現してしまう。

毎日見る夢は日に日に鮮明になってくる。
近いうちに、もしかしたら今日送るかもしれない…。

そんなことを考えていると身震いがしてしまった。
「あまり何も考えないでおこう…」

初めのうちは誰かのためにーなんて思っていたが、
こうも色々と危険予知もできるようになると、
大っぴらに公開するのは身の危険が及ぶと思い長い間隠してきた。

あの黒い塊はなんなんだろう…。

噂によれば、衛星の魔法兵器によって街ひとつが消し飛んだというニュースもあった、だが私の夢は大きな塊がゆらりと落ちてきた…
あれはなんだったんだろう…。


モヤモヤとした気持ちを抱えながら、重い腰を上げ部屋を後にした。


「さて、今日は夢に見たステージの日か…」

予知夢の他に私はもうひとつの特技がある。

「あ、つばささんおはようございます。」

「おはよう!今日のステージ、最高のものにしようね!」

私のもうひとつの特技、それは…


『魔法学園対抗戦!!今宵の月のように1番輝くのは誰か!!開幕です!!本日華やかにオープニングを飾っていただくのは…!』


いくつものスポットライトに照らされたステージの上に
観客は目を釘付けにされた。

『ボーカルにつばさちゃんを迎えた!(バンド名)だぁ!!』

 


▶5 Moment Twins

私達はいつも2人だった
生まれた時も、遊ぶ時も、勉強する時も、
お風呂だって、お互いのホクロの位置が分かるほど

ずっとそう。
特別に私達は学園でも2人同じ部屋に入れてもらえることが出来た。
なぜなら私たちは不思議な体質を持ってしまっているから。

とても強く、とても弱い魔法

それは2人揃わなければ使えない魔法。
1人では発動すらできない弱い魔法。

 

 

あの子はいつも笑っていた。
道行く人に声をかけられ、何かとあればいい子にされていた。
誰からも求められ、誰よりも明るい。
いつしかあの子は弱音を吐けなくなっていた。
みんなが求める"彼女"の姿があの子を苦しめていたのかもしれない。
可哀想だな


あの子はいつも泣いていた。
道行く人には目すら合わせてもらえず、すぐに泣いていた。
誰からも虐げられ、誰よりも暗い。
いつしかあの子は弱音を吐かなくなっていた。
みんなが押し付ける"彼女"の理想があの子を苦しめていたのかもしれない。
可哀想だ。

 

私達は双子。
あの子とは違う。

この学園であの子に私が可哀想だなんて思わせないように。
1番を目指すんだ。

▶6 Beautiful Red

ずっと森の中で過ごしていた。
ある日突然動物の声が聞こえるようになった。
いつも1人だった私にはその子たちが唯一の友達だった。
森の外は危ないところ。
鉄の塊が動く危ないところ。

私は一生ここでいい。
誰ともかかわらない、人間なんていない世界で私は生きていくんだ。

いつしか王子様が私を迎えに来てくれる。
そんな夢物語はもう嫌だ。

この前だってそうだ、迎えに来たと言って
私を慰みものにしようとしていた。

仕方なかった、自分の身を守るためなのだから。
お母さんに教えられた人を真っ赤にする魔法を使った。
簡単にその人は真っ赤になった。
綺麗な色、赤は好きだ。
いつかもっと綺麗な赤を魅せてくれる誰かが私を迎えに来てくれる。


怖いけど…、あの鉄の塊が沢山ある場所は興味がある。
怖いけど…、行ってみたい。


ふと思った、あの場所も真っ赤に染められるのかな?

そんなわけないか、と小さく笑い少女は森の中に消えていった。


…………………………………………………

News

2019/11/03

​音源制作のお知らせ

Gn制作チームより
作曲:海斗
編曲:Shiun

Mix/Mastering:Ryoma Miki

の編成で楽曲提供&音源制作を

担当致しました。
​詳しくはWorksにて。

2019/9/14

​楽曲参加のお知らせ

Gn制作チームより
keyboard&コーラス:はる

で楽曲参加致しました。
​詳しくはWorksにて。

2019/7/19

バックバンド参加

Galanthus nivalisより
ライブのバックバンドで参加いたしました。詳しくはWorksにて

News

2020/2/20

​2作目情報解禁

2作目『Oct GATE』のトレーラー&ストーリーを公開しました。

​詳しくはStoryやMusicにて。

2019/12/28

​バックサポート参加

Galanthus nivalisより
KISUMIワンマンライブのバックサポートを致しました。
​詳しくはWorksにて。

2019/12/2

2作目プロローグ公開

2nd compilation Album

「Oct GATE〜第1章〜」を

​公開しました。

詳しくはStoryにて。

News

2020/4/18

2作目サブスク配信開始

2nd compilation Album

「Oct GATE」のダウンロード販売

および、​サブスク配信開始しました。

詳しくはMusicにて。

2020/2/20

​2作目情報解禁

2作目『Oct GATE』のトレーラー&ストーリーを公開しました。

​詳しくはStoryやMusicにて。

2019/12/28

​バックサポート参加

Galanthus nivalisより
KISUMIワンマンライブのバックサポートを致しました。
​詳しくはWorksにて。

News

2019/11/03

​音源制作のお知らせ

Gn制作チームより
作曲:海斗
編曲:Shiun

Mix/Mastering:Ryoma Miki

の編成で楽曲提供&音源制作を

担当致しました。
​詳しくはWorksにて。

News

2021/1/27

VTuber楽曲提供​

金美館通りの藤村さんの楽曲提供をさせていただきました。

​詳しくはworksにて。

2021/1/24

​バックサポート参加

ARTIST TRY Special LiveのバックバンドをGalanthus nivalisで担当しました。

2021/1/1

YouTubeチャンネル開設

Galanthus nivalis公式
『にばりすちゃんねる』
が開設&投稿始まりました。
​詳しくはMusicにて

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